TOKYO PROFESSIONALS #03 座ることは、贅沢なこと。エレガンスが宿る逸品を求めて 特集 - 2020.05.29 長山 一樹 TOKYO PROFESSIONALS #03 KAZUKI NAGAYAMA <Photographer> × Premium Leather -Black- スタイリッシュなスーツ姿に、ハッセルブラッドというこだわりのカメラで撮影に臨み、美しく繊細な写真で数多くのファッション誌や広告を彩るフォ トグラファーの長山一樹さん。幾つものヴィンテージチェアが並び、自身の美意識が細部にまで行き渡った、東京・馬喰横山に構えるスタジオ兼事務所 を訪ねました。チェアをこよなく愛する彼がたどり着いた、エレガンスの解釈とは ? ながやま・かずき_1982 年、神奈川県出身。2007 年に独立後、数々のファッション誌、広告などで活躍中。その作品性は もちろん、アイコニックなスーツスタイルで業界内からも支持が厚い。カメラメーカー「ハッセルブラッド」のジャパン・ロー カルアンバサダーも務める。 PROFILE ─ チェアに興味を持ったきっかけは? ある日、「生活における全てにこだわりを持つとし たら、何から始めよう」、「単にいいものを買うの ではなく、なぜ自分が使っているのかを答えられ るものを使おう」そう考えた時に、人が日常の中 で一番長い時間を費やしているのは、 座る とい うことだと思い当たりました。 僕自身、撮影がある日ですら現場でも座りますし、 移動の車でも座っている。家に帰ってリビングで も、レタッチの作業の時も座るし、1 日のほとん どを座って過ごしています。一概にリラックスで きる椅子だけがいい椅子とは限らず、すぐ立てる ことがいいという状況もあれば、作業によっては 座りづらくて、背筋が伸びる椅子がいい時もある。 椅子 選びや 座る ことって何をするか、何を 考えるかに影響されて、そこも面白いなって思い Photo: HIDEYUKI SETA Text: MOTOYA SAHARA Edit: F.M.J. magazine ました。 ─ なかでもヴィンテージ家具の魅力とは? 元々デザインが好きで、なぜその形が生まれたの かとか、歴史を遡って、ストーリーというか、背 景を探ることが楽しくなり、オリジナルを辿るよ うになり。結果僕の中では、フランス的な、ル・ コルビュジエとかがピンときました。コルビュジ エの建築、作品は一見直線的なのですが、実は粗 さがあり、同じものを作れないような、どこか未 完成でも許された時代の空気を感じさせてくれる、 そんなところが好きですね。 バラバラなんですよ。普通は「そんなのなしで しょ!」ってなるじゃないですか。でもそれが成 立している。そんな無駄というか、自分が答えを 持っていないといけないものが生活の中にあるこ とが楽しいですね。 例えばタバコは一箱 20 本、味が均一ですが、葉 巻は全て人の手で巻かれていて、同じ銘柄なのに、 モノによって硬さや、密度が違う。すごく吸いづ らいものもあれば、美味いものもあったり、全部 ─ ストレスとの向き合い方やオンオフの切り替え で、意識することはありますか?
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