大きな図書館に行って探していたのですが、その うちに最初の目的の記事とは別の、下に載ってい る広告の方にひっかかって、また別の連載が始まっ たり。そうやってメインの調べものをしているう ちに、別のことが気になってそこを掘り下げると いうことはよくあって、企画の思いつき自体、そ ういう部分から出てくることが多いですね。 難しいことは考えず、ただ興味の 「芽」を育てるだけ ─ では、お部屋で最もリラックスする瞬間ってど んなときですか? 色々ありますが、原稿を書き終わったときにコン ビニでコーヒーを買ってきてくつろぎながらネッ トを眺めているときですね。そういう時間が日中 のリラックスする瞬間ですね。あとは好きな本を 読んでいるときですね。ストレスが溜まったら、 古い地図とか昔の街並みを撮影した写真集を眺め ながらコーヒーを飲んだりしています。 ─ コーヒーで思い出しましたが、泉さんは喫茶店 に関しての書籍も多く書かれていますね。 コーヒーにこだわったりするタイプではないので、 あくまで喫茶店が好きなんです。特に昔ながらの 街の喫茶店って、その街の人の素顔が見られると いうか。地元の人が溜まっているような場所です よね、銭湯なんかと一緒です。そういう場所とい うのはなかなかいいものですよ。昼間の喫茶店な ら、自分と関係ないよその人の会話が聞き取りや すくてまたいいんです。戦前からあるようなクラ シックな洋館風とか、佇まいがいいお店だとつい 入ってしまいますね。ある程度歴史のある喫茶店 というのはそれなりに面白みがあって好きですね。 静かに盗み聞きを楽しみたいので、あまり話好き のマスターというのは苦手で、寡黙な人がやって いるところが好みです。 ─ そうやって今まで色んな人や話に触れてきた泉さんが、人生で大事にしているものは何ですか? 子供のころに集めていた物は、なかなか捨てられないですね。ウルトラ怪獣のプラモデルとか、その時代の図鑑とか シールとか色々ありますが、自分で集めていたものは長年の思い出が重なっているので大事です。当時のウルトラマ ンの図鑑とか、今買うと高いですからね。あの時代は 400 〜 500 円くらいですが、今だと 2 万円くらいしますから。 ただそういうレア本をいま買いもどしたいという気はあまりありません。 ─ では、精神的に大事にしていることはありますか? そういう難しいことはあまりないですね。あるのかもしれないですが、具体的には思い浮かばないです。だいたい僕 の物欲や探究心などは、幼いころから好きなものがメインであって、そこから細かく枝分かれしたものが今現在、興 味のあることなんですよね。昔、体験もののエッセイを書いているときに、気象予報士の資格を取ったんですけど、 仕事として始めたのですが、もともと昔から天気予報が好きだったんです。日本列島の地図を書いて、自分で天気図 を書いてたりしていました。天気予報という興味の「芽」があると、そこに熱中していくというのはあります。僕は ずっと好きなことをしてきただけで、特にこれだけはというこだわりは無いんですよね。 人生で大事なことは、仕事でも何でも楽しんでやること ─ 人生を楽しむには、どうすればいいと思います か? 僕はそんな偉そうなことを言える立場ではないで すが、自分の好きなことをできるだけやるように することでしかないですよね。ただまあ、大人の 社会ですから、好きではないこともその中には入っ てくるわけで。それを上手にこなすというか、い かに興味をもつかということじゃないでしょうか。 それほど楽しくないことでも、楽しんでやる方向 性を見い出すことも、人生を楽しむ上では大事な ことだと思います。例えば、つまらない仕事に向 かう途中に、何か面白い出来事や出会いがあるか もしれないですし。 かね。僕も参考書を読んだり、仕事のためにやり たくない勉強をしたりしていました。でもそこで、 その勉強に対していかに興味を持てるかですね。 少しでも興味のあることや、好きになれそうなこ とであれば頑張るべきだと思います。また先ほど の話ではないですが、勉強に限らず、その「芽」 が出たときにどうするかで、その後のモチベーショ ンが大分変わってくるんじゃないですかね。 ─ 泉さんは、とりわけ人生を楽しんでいらっしゃ るようにお見受けしますが? どうですかね、時間の使い方の違いじゃないです ─ ではそんな泉さんが、今後やってみたいことは 何ですか? 東京に関する本は今まで色々書いてきましたが、 でも切り口を変えればまだまだ面白いことが発掘 できると思うので、その辺を掘り下げたいですね。 ただまあそれも、どうしてもやりたいかと聞かれ ればそうでもないって答えちゃいそうなくらいで、 頼まれればやります、くらいの感じですかね。も う 60 代に入ったので、そんなに仕事としてやら なくてもいいかなっていうのはありますね。僕は、 舞台で死にたいとかそういうタイプではないです し、ましてやペンを握って死ねれば本望だなんて、 これっぽっちも思っていませんから。自分の興味 のあるものに関してはこれからも突きつめていき たいですけど、それ以外は何でもいいです(笑)
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